全身性エリテマトーデス(SLE)で障害年金は受給できる?条件と申請のポイントを解説
1. 全身性エリテマトーデス(SLE)と障害年金
全身性エリテマトーデス(SLE)は、免疫システムが自身の体を攻撃してしまう自己免疫疾患の一つで、膠原病に分類されます。発熱、全身の倦怠感、関節の痛み、皮膚の蝶形紅斑(ちょうけいこうはん)など、非常に多様な症状が現れ、良くなったり悪くなったりを繰り返す特徴があります。
症状は人それぞれ異なり、日常生活や仕事に大きな影響を及ぼすことがあります。障害年金は、このような病気やけがによって生活や仕事が制限される場合に、経済的な支援を行うための公的な制度です。
2. 障害年金の対象となる全身性エリテマトーデスの症状
全身性エリテマトーデスは、特定の症状だけで判断されるのではなく、複数の症状が身体のどの部分に、どの程度の重さで現れているか、そしてそれらが日常生活にどれほどの支障をきたしているかを総合的に評価されます。
障害年金の審査では、特に以下のような症状や検査結果が重視される傾向にあります。
- 全身症状: 持続する発熱、全身倦怠感、易疲労性
- 皮膚・粘膜症状: 蝶形紅斑、円板状皮疹、光線過敏症、口内炎
- 関節症状: 関節炎や関節痛
- 臓器障害:
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- 腎臓: ループス腎炎によるネフローゼ症候群や腎機能低下
- 精神・神経: 中枢神経ループス(けいれん、うつ状態、脳血管障害など)
- 心臓・血管: 心外膜炎、心筋炎、血栓症
- 血液: 溶血性貧血、白血球減少、血小板減少
これらの症状や臨床所見、検査成績などを総合的に考慮して、障害の程度が判断されます。
さらに、SLEの治療に用いられるステロイド薬の副作用として、「大腿骨頭壊死(だいたいこっとうえし)」を発症するケースも少なくありません。
これにより股関節に強い痛みや機能障害が生じた場合は、SLEの症状とは別に「肢体の障害」として認定の対象となります。症状が進行して人工関節を挿入する手術を受けた場合も同様です。
その際は、SLEの症状に関する診断書とは別に、「肢体の障害用の診断書」を提出して申請することになります。
3. 障害等級と認定基準の目安
全身性エリテマトーデスによる障害年金は、症状の重さや日常生活への影響度に応じて、以下の障害等級に認定される可能性があります。
- 1級: 日常生活の用を弁ずることを不能ならしめる程度のもの。身のまわりのことはかろうじてできるが、それ以上の活動はできず、常時の介助が必要な状態。
- 2級: 日常生活が著しい制限を受けるか、又は日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度のもの。必ずしも他人の助けを借りる必要はないが、日常生活は極めて困難で、労働により収入を得ることができない程度の状態。
- 3級(厚生年金のみ): 労働が著しい制限を受けるか、又は労働に著しい制限を加えることを必要とする程度のもの。
日本年金機構が定める「障害認定基準」では、検査成績だけでなく、治療や症状の経過、日常生活でどのような支障が出ているかが重視されます。
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4. 受給のための重要なポイント
障害年金を申請する上で、特に重要となるポイントは以下の通りです。
- 初診日要件
- 保険料の納付要件
- 障害認定日要件
より詳しく知りたい方はこちら
5. 障害年金の申請手続きの流れ
申請は、一般的に以下の流れで進めます。
- 診断書と必要書類の準備: 診断書、初診日を証明する書類、病歴・就労状況等申立書などを揃えます。
- 年金事務所または専門家に相談: 書類の記載内容や手続き方法について確認し、適切に進めます。
- 申請と結果待ち: 提出後、審査に数か月かかる場合があります。
6. 社会保険労務士に相談するメリット
障害年金の申請は手続きが複雑で、ご自身で進めることに不安を感じる方も少なくありません。障害年金を専門とする社会保険労務士に相談することで、以下のようなサポートが受けられます。
- 初診日の証明に関する的確なアドバイス
- 診断書や申立書の記載内容の確認・助言
- 複雑な申請手続きの代行
専門家のサポートを受けることで、書類の不備を防ぎ、スムーズな申請と適正な受給につながる可能性が高まります。
7. まとめ
全身性エリテマトーデスは、多様な症状により日常生活や仕事に大きな影響を及ぼす可能性のある病気です。障害年金は、そうした方々の生活を支えるための重要な制度です。申請には、初診日の証明や、ご自身の状態を正確に反映した診断書が不可欠です。
手続きに不安や疑問がある場合は、一人で悩まず、お近くの年金事務所や障害年金を専門とする社会保険労務士などの専門家へ相談することをおすすめします。